液体窒素を使った空気の分別  
                      鈴木ひさしさんの実験
 
 私が液体窒素を初めて使ったのが大学4年生のときでした。大学祭のときに液体窒素を使った実験を見せたら,随分人気があったのをおぼえています。当時はまだ,そんなにポピュラーではなく,工学部に頼んでもらったり,四日市の工場からもらったりしました。この液体窒素を使った実験もいまでは超低温の世界としてすっかり有名です。
 しかし,前にも書いたんだけど,こうした素材を大切に育てる中で,また新しい世界が見えてきます。新しいものに飛びつくのも大切だけれど古くなった実験も大切に育てていきたいものです。
@液体窒素をビニル袋に入れてみよう。
何がおこるかな。                    (1) 液体窒素が沸騰する。     
(2) 小さな水滴が跳ぶ。      
(3) 煙が下に落ち始める。
(4) ビニル袋が曇る。
・  落ちた水滴を試験管で受け取ると・・・。
○水滴は飛び跳ねている。
○水なら飛び跳ねるはずがない
○ちょうど熱したフライパンの上に置いた水滴のようだ。
  
 注意 !!             
改めて,この現象を見直してみよう。
@ 小さな水滴はなにか。
 空気中の水蒸気?
A 煙は何か。
 空気中の水蒸気?
B ビニル袋が曇るのは何か。
 空気中の水蒸気?      

 こうした現象は,今まで「空気中の水蒸気」のなせる技と考えていました。しかし,本当にそうでしょうか。
 やはり調べてみることが大切でしょう。では,まず,この水滴を集めてみましょう。
 
                     
※ 常温よりはるかに低い温度の液体に違いない。
 空気中の気体が液化したものだろう。
  酸素? 窒素? 二酸化炭素? 水素? とりあえず,試験管に火を入れて みよう。
A試験管の中に線香の火を入れてみよう。

 





 

 
おお!火が大きくなった。
      ↓
   
酸素だ!

  空気中の酸素が液体窒素に冷やされて液化され球形の液体となって袋から落ちてきたと考えられる。

 
B落ちてくる煙に火を近づけてみよう。

 
 火は消える!
    ↓
  
二酸化炭素ではないか。

 空気中の気体は,様々ではあるが比較的多いのは,窒
素,酸素,二酸化炭素であろう。酸素は液体になってい
る。窒素で空気中の窒素を液化するとは考えられない。
となると燃焼支持性がない二酸化炭素の可能性が高い。
 
C空き缶を液体窒素で冷やしてみよう。



 


空き缶の
口をガム
テープで
ふさぐ。



 

 みるみるうちに
空き缶がつぶれる。












 

これを取り出すと
膨らんでくる。
 












 

    ↓


    ↓
 
空き缶の中の空気が密封される。

 
液体窒素で中の空が縮む。大気圧でがつぶれる。


 
中の空気の温度が上がり空気が膨張を始める。


 
 
Dまとめ
 冷やすことによって出てくるものは全て水,水蒸気,氷と考えてしまっていました。しかし,考えてみると,液体窒素の温度では,水は個体になるはずだから水の液体や固体であるはずがない。
 こうしてみると我々の周りの現象も思いこみの部分が随分あるのではないか。なれているはずの実験を大切に進化させることが大切であると思う。 

こどものものの考え方と
教材開発へもどる。